子どもが自然に触れるメリットとは デンマーク・シュタイナー幼稚園の実践から考える

 

「もっと子どもを自然に触れさせたい・・・だって、ゼッタイ何か良いコトあるでしょ!」

 

でも、

 

その「ゼッタイ何か良いコトある」っていう感覚を、ちゃんと言葉で説明するのって難しいですよね。フーーーム。

 

この記事では、そんな方に「子どもが自然に触れることのメリット」について説明します。

 

読めば、「ゼッタイ何か良いコトある」が「こういう点でヤッパリ良いことがある」という確信に変わります。

 

今回、選んだ書籍は『北欧の森のようちえん 自然が子どもを育む: デンマーク・シュタイナー幼稚園の実践』(リッケ・ローセングレン著)です。

著者は、シュタイナー教育者として長年に渡り教育活動を行い、デンマークで「子ども島ボンサイ」という森のようちえん・シュタイナー幼児教育施設の園長を務めている方です。

本には、森のようちえんの実践記録と、そこで過ごす子ども達の成長の様子が書かれています。この記事は、その内容から子どもが自然に触れることのメリットについてまとめています。なぜ自然に触れることが良いのかを紐解いて行きましょう!

 

 



① 自然が子どもの感性を磨き、その子らしさを創る

 

今の時代、デジタルメディアを駆使すれば、確かに世界中の美しい映像を見ることができます。3Dで立体的にさえ見ることができます。でも、それだけでは何か物足りないですよね。皆さんもきっとそう思うはず。

ゆらめく焚き火の炎、パチパチとはぜる薪の音、かざした手に感じる熱気、スモーキーなウインナーの味、そして、フィールドを包む夜の澄んだ森の匂い。やはり、五感を刺激する本物が必要ですよね。自然の中だからこそ、刺激的な本物が味わえます。そして、自然という本物が子どもの感性を磨きます。

自然の中の神羅万象に触れ、感性を磨いた子どもは、そこから自分の個性や好きなことを知ることができます。木を削る工作にのめり込む子がいれば、とにかく山を歩くことに楽しさを感じる子もいる。意図的に与えられたモノからではなく、あるがままの自然から自分が心惹かれるものを選ぶことができる。

そんな風に自然に関わり、感性を磨き、自分らしさを掴んだ子どもは、将来における意思決定もしっかりと行うことができます。子ども島ボンサイを巣立った子どもたちは環境意識が高く、社会に対して自分の力を役立てようとする意識が強い傾向をもっているそうです。

加えて、自然は子どもの想像力や空想力、独創性も育てます。人工的に作られた車のおもちゃは、車のおもちゃでしかない。でも、木の枝は車にも恐竜にも子ども次第で変わることができるのです。

 

 

② 自然が心を育て、自己肯定感を高める

 

自然の中では何が起きるか分かりません。突然の雨に見舞われるかもしれないし、それを超えてたどり着いた稜線で息を呑む美しい夕日と風景に出会えるかもしれません。変化し続ける自然の中では、その変化への対応力や忍耐力、柔軟性、集中力が求められます。必要に迫られることで、子どもはそれらの力を自然と身につけることができます。そして、自分の力で出来事を乗り越えた子どもは自信をもち、自己肯定感を高めることができます。何も変化がなく、ひたすらに安全な環境で、デジタルメディアをばかり見続けて育った子どもはこういった心を育てることができるのでしょうか。本当は望んでいても難しいかもしれませんね。 

 

 

③ 自然が体を育て、逞しくする

 

木の根の飛び出した不整地を歩き、手足を使わないと乗り越えられない岩場を越え、尾根と谷の関係から現在地を把握する。海や川でも同じ。体をしっかり使わないと楽しめないし、乗り越えられない。そして危険。

自然に触れることで、子どもは自然と柔軟性やバランス感覚、筋力、空間認知力、そしてリスク回避力を身につけることができます。心と同じように ひたすらに整った環境で過ごしていれば、確かに不快な状況やリスクには晒されない。でも、刺激は偏りやすく、受動的。体を育てることは難しいかもしれません。自然環境に居れば、自然が自然と体を逞しく育ててくれるのです。

 

 

④ 自然がコミュニケーション力を高める

 

自然の中には誰かと話したくなる不思議やワクワク、力を合わせないと解決できないことがいっぱいです。そんな自然環境だからこそ、親子の会話が生まれ絆が深まったり、友達と協力する協調性を身につけたりすることができるのです。ひいては、社会の中でも協力し合える力を身につけることができます。

 

 

⑤ 自然が子どもの学習意欲や集中力、記憶力を高める

 

知識として、ニジマスのことを詳しく知ることは今の時代、誰にでもできます。インターネットを駆使すれば、専門的な内容を知ることもできるでしょう。しかし、知識に偏った教育は経験を通して世界を知ろうとする子ども達の力をつぶしてしまうかもしれません。

自分で針に虫をつけ、竿を垂らし、食いついた重みを感じ、力強く跳ねる体に触れ、食べるために自分で捌いた子どもはどうでしょう。本物に触れたことで学習意欲や集中力、記憶力をもっともっと高められると思いませんか。自然の中にはあらゆる本物があります。何に興味をもつかはその子どもの好奇心次第です。選んだものは大人の意図とは違うかもしれません。でも、その子が選んだものを大切にすることこそ、本当の意味での学習意欲や集中力、記憶力をつけるための大切な素地なのです。幼少期に学ぶ力をしっかりと身につけた子どもは、大きくなっても自分から学ぶことができます。

 

 


 

以上、デンマーク・シュタイナー幼稚園の実践から、子どもが自然に触れることのメリットでした。
子どもに自然体験をさせることにはメリットがいっぱいです。単に学力が高い、運動能力が高いと言うだけではない、人生という名の荒波をも乗り越える強い存在へと育てる力が、自然教育にはあります。是非、自然の中で様々な経験をさせながら、未来を切り開ける子へと育ててあげましょう^^
このブログの情報が少しでもお役に立てたなら幸いです。次回もお楽しみに!

 

出典『北欧の森のようちえん 自然が子どもを育む: デンマーク・シュタイナー幼稚園の実践』(リッケ・ローセングレン著)